物流再考

2017年1月2日 at 10:53 AM

便利になったネット通販を活用させてもらっています。Amazonの翌日配達(今や当日配達)は大変助かっています。楽天もよく使いますし、ゴルフ宅急便もちょくちょく使います。便利な時代になりました。特に送料無料は魅力的ですね。どこかに買い物に行けば、必ず交通費が掛かりますが、それが不要なのですから。
年末12月30日に以下のような記事がありました。「入社10年以上のベテランドライバーでさえも、朝7時半から夜11時までの長時間肉体労働で、昼食時間も取れず12月に入って3㎏痩せた」というものです。その中でもAmazonの物量とその伸びは群を抜いており、2~3割はAmazonのものとのこと。再配達率は2割弱。再々配達率も4%とドライバーの負担になっているようです。しかも宅急便は1個運んで増える手取りは20円。50個運んでも1000円と実入りが少なく、代表的な3K職場となってしまいました。現在Amazonの配送をほぼ一手に引き受けているヤマト運輸は、「休憩時間が法定通り取得できていないこと(労働基準法34条違反)」「時間外労働に対する賃金が支払われていないこと(同37条違反)」により、横浜北労働基準監督署から8月25日付で是正勧告を受けています。記事の中では、イギリスの宅配事情も紹介していますが、同じように過酷な状況のようです。
また、同月には佐川急便の配達員が荷物を投げつける映像(12月6日付とのこと)がYou Tubeに投稿され、話題となりました。「身勝手な感情でやってしまった。いろいろなイライラが重なっていた。反省している」とこの正社員は事実を認め、今は事務作業に従事しているそうです。
宅配業界では、ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便の大手3社による苛烈なシェア争いが繰り広げられています。前述のようにAmazonの成長は著しく、各社にとって是が非でも確保したいビジネスでしょうが、2012年から運賃の適正化を進めてきた佐川急便(2005年ごろ日通のペリカン便に代わり受け持った)は2013年Amazonとの契約を打ち切ります。値上げを求める佐川急便に対し、Amazonはさらなる値下げとメール便にも判取り(つまり再配達要求)を要求し、最終的には決裂しました。代わりにヤマト運輸が引き受けましたが、現場の過酷さは佐川急便と変わるはずもなく疲弊した現場の実態が浮かび上がってきます。
ご承知のようにAmazonは2016年4月6日から送料を有料化しました。2000円未満の購入の場合は350円の送料がかかるようになりました。同時にプレミアム会員を募り、様々な特典を付けながら年間3900円で顧客への送料負担を求めました。タダより怖いものはないと言われながら、私も含めて無料配送に魅入られていました。最近は購入単位(ワインなら6本単位とか)を考え、妥当だと思う送料は支払っています。ポイントが貯まってくれば、送料分くらいは賄えます。
B2Bのビジネスでも、トヨタのかんばん方式に代表されるJIT(Just In Time)は納入回数を増やすことになり、これにかかわる運搬費等が増大したり、また「かんばん」による短期納入、または不測の事態による労働時間の延長等から、下請事業者は危険負担を覚悟しての見込み生産を行ない在庫を増加させるケースが多くなるなどと批判された。納入回数の増加についてみれば、月1回だったものが3~5回に、大物部品は毎日1回だったものが5回に時間納入とされた例もある。トヨタは、内示とかんばんによる納入数量差を3%以内に留めることを目標に掲げ、3ヶ月前から毎月生産数量を内示し、計画は内示のたびに修正されて、精度の高いものにして納入数量差を僅少に留めるよう努めている。しかし、これにより「日当り内示数が、1ヶ月間はほぼ同一となっているため下請事業者も1ヶ月間は同数の要員を配置すればよく、この効果は計り知れない。この要員配置での生産数量の変動は残業での調整が可能であり、それほどのダメージはない」という説明には素直に頷けない取引業者もいるであろう。いずれにせよステークホルダー内での合意形成を重んじなければならない。コストを下回るプライスはいずれ破綻するし、維持されているとするならば、どこかに嘘が隠れている。
さて、話を元に戻すと、2013年9月3日アマゾンジャパン・ロジスティクスは神奈川県小田原市において、新物流センター「アマゾン小田原FC(フルフィルメントセンター)」を本格稼働させ、配送の自社化への足掛かりを築き始めた。
2016年9月27日付のThe Wall Street Jornalでは、Amazonがこれまで米国内での宅配を委託してきたUSPおよびFedExとの契約を解除して、米国内での宅配業務については自社で実施することを検討していると報道されている。
Amazonが宅配業務を自前のものに切り替えた場合、流通コストの面でAmazonに太刀打ちできる業者は存在しないであろうと言われており、流通業界の地図が大きく塗り替えられる可能性が出てくる。今日の顧客が明日の脅威になる熾烈なビジネス競争の中、我々消費者が出来ることは、時間指定しておきながら留守にはしない、宅配ドライバーに「ご苦労様」の一言を添えるくらいしかないのであろうか。
Amazonは将来の配達を様々な形で検討をしている。「消費者の注文前に発送する特許2013年取得」「2017年からレジ無しコンビニ」「配達用無人機を備えた空中倉庫2016年特許申請」「2016年ドローン配送実験を英国で開始」「備品の自動注文サービスDash Replenishment Service(DRS)を2016年開始」などなど。いずれはAIやIoTなどの進展により、欲しいと思ったものが注文しなくても届く時代がやってくることになるのでしょうか。