7月20日に投開票が行われた参院選では自民・公明の与党の苦戦が予想される中、後半には組織票の踏ん張りで改選47議席を確保したものの、石破首相が目指していた自公過半数には届かず、与党が両院で過半数を失う史上初の両院少数政権に陥りました。
これまでの通例からすれば、即首相辞任という状況ですが、石破首相は日米関税交渉合意を着実に実行していくとか、いつ大地震がやってくるかわからないとか、政治空白を避けなければならないとか、理由にもならない理由を並べて続投に固執しています。
一方で、「石破辞めるな!」のデモが数百人規模で行われ、ほぼ「安倍政権を許さない!」とプラカードを上げていた人たち、つまり保守台頭を恐れるリベラル活動家による前代未聞の自民党総裁支援という状況を生んでいます。しかしながら、保守本流を掲げていた当の自民党は、今や保守とリベラルの混在カオス政党になり、しっかりとした輪郭がなくなってしまった単なる利益分配型政党になり下がっています。
自民党の比例当選者の名簿を見ると、全国郵便局長会・全国建設業協会(この2枠は特定枠として最優先)・日本医師連盟・全国農政連・日本看護連盟・神道政治連盟・全国土地改良政治連盟・日本薬剤師連盟・全国商工政治連盟の支援を受けた議員名が続きます。業界団体票によって議員が政界に押し込まれ、政策に大きな影響を与え、今や税負担率が45%を超える血税が業界に流れ出ている構図が透けて見えてきます。
それは立憲も同様で、自治労・日教組・JP労連・基幹労連・情報労連の支援を受けた候補者が早々に当選を決めています。今回、「手取りを増やす!」で伸長した国民民主も電力労連・自動車総連・UAゼンセン等の労働組合の支援による当選者が基盤を形成しています。
「日本ファースト」を掲げて15議席を獲得した参政党は2020年結党以来、地方組織の拡充に努め、既に地方議員を155名輩出しており、単なるポピュリズム政党とは一線を画した地道な運動を展開してきたことが結果につながったと私は見ています。
今回の参院選において私は、まず投票率が58.52%と前回2022年の52.05%から6.47ポイント上昇したことに注目しています。これにより、600万票ほどの有効投票数が増えている(公明党の票を凌駕する数です)計算になり、有権者の政治意識の高まりが感じられます。三連休の中日に設定されたこともあるでしょうが、期日前投票は過去最多の2618万人に達したことは、それを裏付ける格好になっていると考えます。
そして、投票行動に大きな影響を与えたのがSNSによる情報や意見の拡散です。街中に建てられる看板を見て、投票する人は今や極少数でしょう(即刻止めた方がいいです)。SNSをやらない人には立候補者の公報が郵便ポストに入ってきますから看板がなくても困りません。政見放送を観たければNHKで何度も流れますし、録画してじっくり観ることも可能です。私も先の都知事選の政見放送を録画していくつか観ましたが、とても聞くに堪えない候補者も大勢いました。こんな輩に公共の電波を使わせていいのかどうか甚だ疑問に思ったものですが、日本では被選挙権や言論の自由が保障されています。
さて、世の中「AI時代」と言われるようになって久しいですが、その進化は日進月歩という表現では追い付かないくらい速いスピードです。先般、Global Digital Summit 2025で台湾の前デジタル大臣オードリー・タン氏の講演を聴きました。台湾では、中央政府からの一方通行での情報提供だけではなく、数千人規模の市民が参加し、タクシー運転手からテック起業家までが混在するネットワークの中で政策を共創するという仕組みを展開しているとのことでした。多数の声を取り込むことで信頼を育み、Epistemic Security(知識の安全性)を構築する仕組みの重要性を強調していました。各処で分断が報じられる世界ですが、AIによって合意点と対立点を明確にしつつ、人々の判断を支えるものになると主張しています。
いよいよAIが、多数の声を包摂する構造をつくる手段として活用され、政策の意思決定における基盤が整ってきたと言えるのではないでしょうか。兎角、声の大きな集団や団体の我田引水的な主張ばかりが政治に圧力をかけ、それをオールド・メディアが取り上げて喧伝する傾向が強いですが、もうそういう政治は終わりにしませんか。旧態依然とした議員代議制を超えたサイレントマジョリティの声が政策に反映されるような真の民主主義を推し進めてくれる人を国会議員にしていきましょう。そういう意味で、しがらみのない新しい党の若手台頭は若返りという意味でも望ましいと私は考えています。オードリー・タン氏が講演で、今回チームみらいを率いて当選した安野貴博氏の名前を挙げていたことは印象的でした。彼には早々にデジタル大臣に就任してもらって、政策決定におけるAI実装を是非、実現してほしいと思います。今選挙では偽造された投票用紙が見つかりました(簡単に作れます)。本人確認を十分に行わない投票には以前から疑問を感じていました(誰が行ってもわからない)。SNSによる他国の介入も世界中で行われ民主主義を脅かしています。デジタル技術の活用でその懸念を低減し、サイレントマジョリティの声が正しく政策に反映されなければ、専制国家(個人の自由が蹂躙される全体主義国家)の台頭を許してしまう結果になってしまいます。


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