エゾシカ増えすぎ問題
初めて道東を一巡りした。厚岸では丹頂鶴のつがいの舞う姿と特徴のある鳴き声に大自然を感じ、日本最大の砂嘴(さし)である野付半島では悪天候にもかかわらず、恐れるもの何もなしといった体で、ゆったりと散歩する三頭のエゾシカ親子を車窓から眺めることができた。翌日、晴天に恵まれ釧路湿原の昨年新調された木道を歩いたが、かなり高い位置まで樹幹に保護ネットを巻きつけ、エゾシカの剥皮害から守る措置を施していた木々が目についた。エゾシカが伸びをしても到底届かないであろう高さまで保護ネットがあるのは、雪が積もっても守れるようになっているというガイドの説明であった。 観光客にとってはエゾシカを目撃できるのは楽しい思い出になるが、エゾシカがミズナラやオニグルミなど実のなる木を食い尽くし、生態系を脅かすようになっている。近年は年間13万頭ほど駆除しているそうだが、道内で69万頭は生息していると推定されている。人間が狩猟などの数量調整をしないと4~5年で2倍に増えるほどエゾシカの繁殖力は強い。一方でハンターの高齢化や狩猟ライセンスを取ろうという若者も少なく、なかなか5頭/㎢以下程度の目標達成には程遠い現状だそうである...