|   調達科学研ホーム  |   Procurement Science Lab. Home   |

CSV (Creating Shared Value)

2013年5月16日 at 10:27 AM

ハーバードビジネススクールのマイケル・ポーター教授が提唱したというCSVという言葉が目に留まりましたので、考え方を勉強してみました。

基本的には社会問題の解決にビジネスの手法を持ち込んで解決していこうという考え方です。世の中には環境問題、貧困問題、障がい者雇用、住宅問題、健康問題など課題が沢山ありますが、一般にこれら社会問題は政府や自治体がやることで企業は関係ない(企業は税金を払っていますから、それらで賄ってくださいという考えが一般的でしょう)とされています。勿論主に大企業ではCSR活動を通じて良い評価を受け、良い市民を生み、害悪を減少させ、ステークスホルダーと良い関係を結ぶといった活動も行っています。社会問題解決の為に様々なNGO、NPO、ソーシャルビジネスも活動していますが、ポーター教授によれば、それらの活動は大規模に展開する技能や資源に乏しく、小規模の人を助けることはできても何億人もの人を助けることができないと論じています。

企業は利益をあげる力があるから社会問題を解決できるのであって、社会問題対策と利益創出は相反するものだと考えることは企業が多くのビジネスチャンスを逃しているとポーター教授は指摘しています。多くの企業がステークスホルダー間の利害関係のバランスを取らなければならない状況であったり、たとえば経済的な成功と環境的な成功はトレードオフ関係だと考えたりすることは危険な考え方だともしています。

日本は敗戦後、少なくない企業がCSVの考え方を持っていて、日本の再建の過程で多くの起業家・経営者が資本主義を通じて国家再建をしようと企業活動を行っていました。昨今の例をとれば震災が起きたら何ができるかと企業に問うと、寄付をしますとか、ボランティア社員を現地に派遣しますなどの答えが返ってきますが、社会変革のためには寄付からビジネスへの思考の変化が必要だとポーター教授は説いています。

たとえば住宅問題を例にとれば、寄付金に頼った財団から安価の住宅を提供するより、安価な家を建てる力を持つ企業のビジネスモデルを創造することができれば規模がさらに拡大し、問題解決にパワフルに寄与できて、社会的価値を増すことができるのです。

現代の若者たちは育ってきた時代背景から社会問題に関心が高く、多くの人が医療、環境、低所得、貧困といった社会的課題にNGOなどに参加して情熱をもって取り組んでいる人が少なくありません。その意識やその気持ちは素晴らしいもののその効果は限定的小規模で、根本的問題解決にはなりません。やはり構造問題に取り組まないと多くの人を助けることはできないわけです。

我々はどうやらモノの見方が狭くなってしまって、本来の企業の存在意義、あるいは企業が提供する社会的な価値、収益をあげることによってどのような社会的価値をもたらすことができるのか忘れてしまったようです。企業が持っている資源や専門性を使って社会問題を解決する、そして利益をあげて、社会的価値を増大させる、これがCSVの考え方の基本と理解しました。

第四回早稲田会議

2013年5月8日 at 4:15 PM

今日は毎年この時期に早稲田大学井深大記念ホールで行われる早稲田会議記念講演会に参加しました。2010年から始まったこの会議は正式にはCEOラウンドテーブルと呼ばれ、2日間に渡って経済人や学者が非公式で議論を行う場として催されています。私は一般公開となっている記念講演会に第二回目から出席していて、過去ファーストリテイリングの柳井正氏、コマツの坂根正弘氏が登壇し、今回は前中国駐在全権特命大使の丹羽宇一郎氏が登壇しました。

「日本のこれから」~企業は人なり~と題された講演では最近の日中韓の関係、中国が低成長期に入ったとする見解、日本の人口減少に触れ過去の延長線上に日本の繁栄はない、国を挙げて教育投資を行い、個人個人はもっと自立をしていかなければならないといった論旨を展開されました。

私の印象に残ったのは冒頭、中韓のトップが繰り返し口にしたという「中国の夢」(習近平主席)、「韓国の幸福」(朴槿惠大統領)というそれぞれの国の目標目的です。
国を率いるトップが何のために政(まつりごと)を行うかは国民として大いに気になることであり、それが論点として選挙が活性化し、健全な形で民意が反映されていくのが理想の姿のはずであろうと思います。前述の2国が民意を反映した民主主義か否かといった体制の議論は別にしても、「理想」を語らずして進歩はないと私は思います。

丹羽氏によれば中国の予算のうち最も大きなものは教育費(30兆円相当)、次に社会保障・就職関連、そして農林水産、公共投資と続き、これら合計で国家予算の半分近くにまで達するとの事。すっかり軍事費に大層費やしているのかと思っていた私の目を開かせていただきました。ちなみに国防予算は教育費の1/3程度だそうです。少なくとも中国上層部が教育分野こそがこれからの「中国の夢」の実現に最も必要だと認識して手を打っているということは伝わってきます。

一方、日本の教育予算はOECD加盟国でGDP比最低といった数字も丹羽氏は紹介していましたので、私なりに調べてみました。行政の縦割りだったり、地方予算で賄っている部分があったり、家計負担で塾などが流行っていたりと一概に日本の教育費が低いは言えない点もあるようです。共産圏とは比較しにくい話ですが、少なくとも日本には統一された教育国家戦略はないと言わざるをえないでしょう。これは今の日本にどんな国になろうとしているかといった目標目的意識が希薄だからなのではないでしょうか。

安倍総理の「三本の矢」の最も大事な成長戦略には、Life ScienceとEnergy革命が主要候補と丹羽氏は語っておられましたが、こういった成長分野に教育投資を含めて着実にやっていかなければならないと私も思います。民とか官とか言っている場合ではないのでしょう。時間は掛かるでしょうが、掛かるからこそ簡単には追いつかれない強みのある産業に育つものと思います。いつまでも日本の高度成長を支えた電機・自動車にばかり依存していてはいけませんね。もちろん各産業でInnovationを起こす努力は否定しませんが、新興国ができるようになっている領域に投資をしていっても経済合理性から言って回収の見込みが立ちません。

講演後の丹羽氏と早稲田大学ビジネススクールの内田和成教授との対談で出ていた話ですが、「日本人は皆同じことをやりたがる、隣と競争して勝った負けたと一喜一憂」と日本人の同質性・同胞性の現代における脆弱性を指摘していました。第三回の坂根氏も同じことに触れていたのを記憶していますが、氏は「強み弱みは状況によって反転するので、日本の特質を生かしてやっていけばいい」といった論旨を展開されていました。

いずれの議論も私なりに共通性を整理すると、「外に出よ」「自立せよ」「人を気にするな」「個性を磨け、そしてそれを際立たせよ」といった文言になりましょうか。今の私個人に関して言えば「毎日一歩でも1㎜でも前進しているかどうか」を自らに問いかけながら自分の頭で考えて、そして明日に向かっていきたいと思います。

行政改革推進本部

2013年4月17日 at 12:20 PM

漸くブログを書ける時間が出来ました。
平成25年4月5日、安倍総理は国会内で、第2回となる行政改革推進本部を開催しました。
この会議では、「行政事業レビューの実施等」、「調達改善の取組み」について議論され、安倍総理は次のように述べました。

「行政改革を進めていく上で、無駄の撲滅への取組みを不断に行っていくことは極めて重要です。
その際のインフラともなる行政事業レビュー及び調達改善計画について、政府一体となって取り組むことといたします。
各閣僚におかれては、一層のリーダーシップを発揮し、積極的に無駄の撲滅に取り組んでいただくようお願いいたします。
行政改革は、政府全体に関わる重要事項であり、行政改革推進会議における審議を踏まえつつ、この本部を中心として進めてまいりますので、各閣僚には引き続きご協力いただくようによろしくお願いいたします。」
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg7779.html

ギリシャやスペインなど政府の債務肥大化で、そのあおりを受けて若年層の失業率が信じられないほどの高率に至っています。
日本もこのまま放置していては同じ轍を踏むことになりかねません。
若い人たちが夢や希望を持てる国にすることは我々の使命でもあります。政府による調達改革がスタートした時に、私は内閣府にメールを送って、その活動に協力したいと申し出ましたが、何も返信はありませんでした。

でもいずれは政府の無駄遣い撲滅に協力し、生きたお金の使い方にいくばくかでも貢献したいと思っています。

調達科学研ブログ

2013年3月25日 at 4:39 PM

近日中にスタートします。