
アヘン戦争~東洋の没落と西洋の勃興の分水嶺~
久しぶりに一気に読み終える本に出会いました。ライフネット生命保険株式会社の出口治明会長兼CEOの書かれた「仕事に効く教養としての『世界史』」という本です。私が購入した本は出版から1か月も経たないうちに第三刷になっていますから結構売れ行きも良いのだろうと思います。タイトルの「仕事に効く」っていうところは個人的に編集部のセンスを疑いますが、題名を置いても、中身は歴史観において新しい視点を沢山提供してくれる好著です。著者は保険会社を退職後、大学の講師などを経て現職に至りますが、これまでに訪れた都市が1000以上、読んだ歴史書は5000冊以上という博覧強記ぶりとそれを基にした大河的視点を著書の随所に見せてくれます。 私の世代が習った世界史は明らかにヨーロッパ中心の西洋史観で、ギリシャ・ローマから始まりキリスト教の流れを本流に、騎馬民族は北方の脅威で荒くれ者の集団、バイキングは北方の海賊、ムスリムは傍流異端、アジアは野蛮な後進国、自由主義を建国の旗印にアメリカが栄え、ソ連邦の崩壊による冷戦終結を経て、歴史を先導した欧米の価値観がこれからも主流を形成するといったものと記憶しています。日本にとっては...