梅雨入り宣言と予測精度

2013年6月3日 at 3:04 PM

気象庁は今年平年より10日早い関東甲信地方の梅雨入りを5月29日に発表した。しかしながら、天気は至って良好。東京は一週間先まで雨の降る予報はない。もしかして気象庁そのものも早まったと後悔しているかもしれない。普段から気象庁の予測精度はあまり期待できないと思っている人は少なからずいると思うが、かと言って天気予報を見ない人は少数であろう。運動会やBBQ、そんなイベントを前にして天気に無頓着ではいられまい。

このお天気ビジネス、Needsはあるが、顧客の満足できるレベルに至っていないので、設備投資が掛かるものの、まだまだ新規参入の余地のある業種であると言える。実際、特定顧客に対してより精度の高い情報を提供している会社はあるし、コンビニの弁当の仕込み量や飲料水の仕込みはそういった情報に大きく依存している。

私は今日は外出する予定は無かったが、梅雨の合間の晴れ間にしては随分ピーカンなので、たまに気分転換に出掛ける近くの大池公園に散歩に行ってみた。いつもように公園遠周を歩いていると、正面からランニングの女性がこちらに向かって走ってくる。ゆっくりのスピードなので、特に目を留めることもなくさっと視界から過ぎ去っていく姿のはずであるが、なんとその女性は少し驚きの表情を浮かべ、今までしたこともないのではないかと思われるムーンウォークで後ずさりし、踵を返す形で右手の小道に走り去っていった。まさか私を見て恐怖を感じた訳でもなかろうが、気に留めることもなく歩きすすむと、彼女の行動に合点がいった。体長1m以上もある蛇が舗装された小道を横断中であったのだ。鎌首をあげることもなくスルスルと身をくねらせて進んでいくので、しばし足を止めて「一体、どこへ向かうのか」観察したくなった。その大蛇(横浜では大蛇の部類かと)はPaceを変えることもなく我が道を行くかのごとく池の方向に向かっている。果たして最後は池に入るのか?私も距離を保ちながらそっと池の方向に歩み寄っていく。

大蛇は池の手前までいって、その石積みの段差にびびったのか、右へ逸れて池の周りを少しなぞったあと、来た方向の草むらへ舞い戻ろうとする。水は嫌いか? さてもう少し見てみようか、見るのは止めて先へ行こうか少しの逡巡があった時に、回りの動物の鳴き声に気付いて回りを見渡すと、周囲には7~8羽の鳩が私を囲むように手摺の上に、あるいは池の石積みに集まってきている。そのうちの1羽か2羽が聞きなれない奇妙な鳴き声を発したかと思ったその次の瞬間、池の向こう岸から何十羽もの鳩がヒッチコック「鳥」宜しく私の方へ猛烈な勢いで飛んできて頭を啄まんばかりに羽を大きく広げて着地態勢を取っている。その羽音の大きさに直感的な恐れを感じた私は、その場を一目散に逃げ去った。よかった糞をかけられなくて・・・・

多分、鳩たちはこれまでの経験から池の近くの人間は餌をくれるものと思い込んで、仲間を次々と呼んでいたのであろうと勝手に解釈した。でなければ、鳩に襲われる謂れも心当たりもない。

蛇に近寄り観察、鳩がたかってきて、そこから逃げ去るという、平日の平和な公園では全く想定外の数分の出来事であった。事が起こった今ですら現実だったのかどうなのかさえ定かでない。鳩にあんなに恐れを感じたこともない。

予測とはかくも脆く困難厄介極まりないものである。天気は悪い方に外れれば怒りたくもなるが、良い方に外れたら人間はその結果に寛容なものである。製造業の需要予測も上方修正には何とかやってやろう、お客様をお待たせしてはいけないとMotivationが上がるが、下方修正の場合は注文キャンセル、残材処理と全く後ろ向きな仕事で、かつお客様には何一つBenefitを差し上げられない。いっそ需要予測なんてやめたらという気分になる時もあるが、投資判断ともなれば、ある程度長期に亘る需要予測無しではビジネスは成り立たない。需要予測と同時にどういった販売戦略でどの程度シェアを取るかといったまさに製販一致した腹落ちした計画を立ててしかるべき責任者が責任を持って進めるべきものである。既存事業の場合はその経験と知見も積まれているので、そんなに大きく外れるものではないだろうが、全く新規の事業となると非常に困難な作業になると思われる。その際の最大のRisk Managementは多くの人の意見を聞くことである。様々な経験や知見、趣味、人脈、多様な人がいればいるほど、予測の確度が高くなる。少なくともRisk Factorを明らかにすることはできる。大企業でも中小企業でも企業の大きさを問わずいつも決まった人が意見を引っ張り、限られた経験とバイアスの掛かった判断で結論に持っていくことや、いつも同じメンバーで寄り集まって肝心な核心議論が抜け落ちて結論に至ることが一番危険である。会社組織の風通しの良さこそが予測困難な状況に際してRiskを避けて前へ切り開いて進むことのできる最大の武器である。No Risk, No Returnとはそういった回避策(戦略とは如何に戦をせずに勝つかということ)を充分取った上での不退転の決意を示すのであって、それなしでは単なるギャンブル。最後は天から糞が降ってくる運命が待っている。