ブログ

ブログ

日本人アスリートの世界進出を喜ぶ

大谷翔平のスーパースターぶりは改めてここに記す必要がないほど、世界中の野球ファンや日本人には知られるに至った。このスーパースターは誰と結婚するのだろうと野次馬根性に火が付いたのは私だけではあるまい。メディアの報道を過熱させることなく伴侶を公開できたのは大谷の人間性と相まっての奇跡の技と言ってもいいのかもしれない。 大谷翔平が花巻東高校1年生時に立てた目標達成表「マンダラート」は有名になり、ビジネス書に「仕事に活かせる3つの教え」等として引用されるほどである。 大谷マンダラートの最終目標は8球団からドラフト1位指名を受けることであった。そのために「コントロール」「キレ」「スピード160km/h」「変化球」「体づくり」の5項目に加え、「メンタル」「人間性」「運」の3項目を記している。さらにこの8項目の達成のために必要な詳細項目をそれぞれの8項目に記載している。 たとえば、「メンタル」では「仲間を思いやる心」や「頭は冷静に心は熱く」。「人間性」では「愛される人間」「感謝」「礼儀」「継続力」「信頼される人間」など。「運」に至っては「ゴミ拾い」「道具を大切に使う」「プラス思考」「応援される人間に...
ブログ

和敬清寂(わけいせいじゃく)

和敬清寂とは、茶道の心得を示す標語である。それは、主人と賓客がお互いの心を和らげて謹み敬い、茶室の備品や茶会の雰囲気を清浄にするという意味である。わび茶の完成者として知られる千利休は「和」、「敬」、「清」、「寂」を「四規」として茶の湯の精神を後世に伝えた。 中国では紀元前から愛飲されていたお茶を、遣唐使が日本に持ち帰ったのは平安時代とされる。当時お茶はとても貴重で、天皇や貴族、僧侶だけしか口にすることができなかった。鎌倉時代に臨済宗を伝えた栄西が「お茶は良い薬です」と、時の将軍源実朝に献上したことが記録に残っているが、お茶と武士との関係はこの頃からあったようである。 南北朝時代には飲み比べの「闘茶」が流行し、その延長で宴会や賭け事に拡がったので、禁止令が出されたという記録も残っている。室町時代には(当時は高級であった)風呂上りに熱い茶を飲み、ご馳走を食べて贅沢をするというように上級社会の催事になっていったようである。 千利休は言わずと知れた日本一有名な茶人であるが、天下人豊臣秀吉の側近となってからは政事の表舞台に上っていくことになる。利休という名前は、のちに禁中茶会(1585年)にあた...
ブログ

新日本建設に関する詔書(1946.1.1)

ここに新年を迎える。 顧みれば、明治天皇は明治の初め、国是として五箇条の御誓文をお示しになられた。 それによると、 一、幅広く会議を開き、何事も議論をして世論に従い決めなければならない。 一、身分の高い者も低い者も心をひとつにして、積極的に国のあり方を考えていかなければならない。 一、中央政府も地方の領主も、庶民に至るまで、それぞれ志を遂げ、人々が生きていて幸せに感じる事が重要である。 一、古くからの悪しき習慣を打ち破り、人類普遍の正しい道に基づいていかなければならない。 一、知識を世界に求め、大いにこの国の基盤となる力を高めなければならない。 お考えは公明正大であり、付け加えなければならない事柄は何もない。 わたしはここに誓いを新たにして国の運命を開いていきたい。 当然このご趣旨に則り、古くからの悪しき習慣を捨て、民意を自由に広げてもらい、官民を挙げて平和主義に徹し、教養を豊かにして文化を築き、そうして国民生活の向上を図り、新日本を建設しなければならない。 大小の都市の被った戦禍、罹災者の苦しみ、産業の停滞、食糧の不足、失業者増加の趨勢などは実に心を痛める事である。 しかしながら、我...
ブログ

教育の行く末

私は声を荒げることはめったにない人間だが、過去に役所の窓口、銀行の窓口でその行為に出たことがある。病院の医者の前でも声を荒げたくなったことはあるが、それは抑えた。その代わりと言ってはなんだが、これまで低かった血圧が年のせいもあってか急激に上がった。 これらに共通項があるとすれば、それは杓子定規で融通が利かないということである。それは取りも直さず社会通念とずれている世界にその住人たちはいるということでもあろう。全てを法律や規範、ルールに縛られて状況に応じた臨機応変な対応ができない人たちの集団である。世の中の総てをルール化することはできない。ルールや法律は常に後付けで作られる運命にあり、最近はとみに社会の変革が猛スピードで進んでいるのに加えてコンプライアンスなるものが跋扈して臨機応変に対応を試みると責任を問われ炎上する。活力のない世界になるはずである。 日本の法体系は基本的にポジティブ・リストによって作られる傾向があり、やって良いことだけが書いてある。であるから、新しい事柄は新しい法律を作るまで対応できない。役所には「許可願い」を出して受理されないと事を起こせない。ネガティブ・リストは原則...
ブログ

2024調達における現代地政学の視界

日本のテレビは相変わらず些末なニュースに終始していますが、世界は大きく変わっています。ロシアによるウクライナ侵攻は停戦の呼びかけにも関わらず丸2年になろうとしています。市民の死者は1万人を超え、世界各地に離散したウクライナ難民は633万人を超えていると伝えられています。一方、ガザ地区におけるハマスとイスラエルの戦闘は3か月目を迎え、報道では死者は2万人を超えているとのこと。そもそもはハマスが仕掛けた戦闘ではあるものの、死者の4分の3はガザ地区に住む女性と子供という悲惨なことで、イスラエルは世界的に非難を浴びています。この二つの戦闘の教訓はもはや国連は機能していないという看過できない重大な事実です。振り返れば、世界中を混乱の渦に巻き込んだ新型コロナのパンデミックもWHOの無策(無力)により、終息までに丸3年を要しました。先進国と新興国のワクチン格差が大きな問題として取り上げられていましたが、蓋を開けてみれば、人口百万人あたりの死者数は英米伊がトップ3で、上位9位までは欧州・北米・南米が占めています。データ精度の問題も問われてはいますが、アフリカの死亡率は先進国に比べて低いのです。高齢率と...
ブログ

解の見当たらないパレスチナ問題

2023年もあとひと月となった。あとひと月で清水寺貫主による今年の漢字が発表される。昨年の漢字は「戦」であった。2年連続で「戦」とはならないだろうが、2022年2月24日ロシアのウクライナ侵攻から始まった戦闘は終わる気配がない中、今年10月7日パレスチ自治区であるガザ地区のイスラム組織ハマスによってイスラエルへの奇襲攻撃が始まった。ロシアとウクライナの歴史は中世にまで遡るが、パレスチナにおけるユダヤ人とアラブ人の歴史は紀元前1230~1300年頃と言われる「出エジプト」まで遡ることができよう。しかし、その争いの歴史は第2次世界大戦後の1948年5月14日のイスラエル建国(日本は1952年に承認)から始まったと見るのが、現実的であろう。なぜなら、それまでのパレスチナ社会は様々な宗教が共存し、宗教は違えど隣人とのコミュニティは大きな摩擦なく存在していたからである(映像が残っている)。そのパレスチナ社会が崩壊し、多くのパレスチナ人が難民となったことがパレスチナ問題の発端である。 パレスチナとはそもそも西アジアの地理的地域を指し、通常はイスラエル、ヨルダンの西部の一部、およびパレスチナ自治区(...
ブログ

老人国家日本の行方

岸田首相の経済対策が袋叩きになっている。物価高対策として所得税と住民税の減税や低所得者向けの給付を謳い、賃上げや国内投資の促進を盛り込んではいるものの、選挙前対策のバラマキと批判されて元気も自信も無くしているように見える。先日の衆議院本会議での所信表明演説で「経済、経済、経済!」と声高に連呼して叫んだ姿は支持率アップを期待してのものではあったろうが、却ってその必死さが的外れ感を浮かび上がらせていたように思う。確かに物価高対策は多くの国民が望んでいることではあるが、一国の首相という立場であれば、他にも安全保障強化や社会保障制度の在り方や国家財政健全化といった中期的課題も着実に対応していかなければならない。3兆4千億円の税収増を国民に還元するというのがそもそも筋がおかしい。ようやく税収増のモーメンタムになったのに、それを国民にお返しするというのは政治の放棄にも感じられる。そもそも税金は個人個人では対応できない国家レベルのインフラ整備に使われるものであるはずで、国民に社会インフラとして還元すべきものである。補助金や給付金を否定するものではないが、税制や手続きが複雑になり役所の負担が増すばかり...
ブログ

量子力学をかじってみる

2023年度のノーベル賞が日々発表されています。私が高校時代に最も苦手科目としていた物理に興味を抱くようになったのは量子力学を知るようになった最近のことです。 ですからノーベル賞の中でも物理学賞受賞者や受賞理由については関心を寄せています。 今年の物理学賞は「物質中の電子ダイナミクスの測定を可能にするアト秒パルス光を生成する実験手法の開発」で米独典の3氏が受賞しました。猛スピードで物質中を移動する電子の動きから650アト秒(アト秒は100京分の1秒)の単一の光パルスを取り出すことに成功したとのことで、今後は半導体材料などへの応用が期待されているとのことです。 電子は、宇宙を構成するレプトンに分類される素粒子のひとつであり、量子力学の代表的な研究対象と言えます。高校時代には電子は原子核の周りをぐるぐる回っているマイナスの電荷を持つ物質(素粒子)と教わったが、当時は興味もなく反粒子である陽電子が存在することも知る由もありませんでした。 量子とは、粒子と波の性質をあわせ持った極小の物質やエネルギーの単位のことです。物質を形作っている原子そのものや、原子を形作っている電子・中性子・陽子といった...
ブログ

台湾をめぐる米中と日中

日中のGDPが逆転したのは2010年のことである。日本が西ドイツを抜いてGDP世界第2位になったのは1968年なので、日本は42年間アメリカに次ぐ経済大国として世界にその存在感を誇っていたことになる。1968年時点の日本のGDPは1466億ドル(約51兆円)、当時中国は文化大革命の時代であり、経済数値の信頼性には疑問があるが、凡そ468億元(約1324億円)であったと推定される。日本は中国の385倍の経済規模があり、一人当たりのGDPでは(日本1億1790万人・中国7億5600万人)2474倍の差があった。 米国ニクソン大統領が中華人民共和国(中共)を電撃訪問したのは1972年。国家安全保障問題担当大統領補佐官であったキッシンジャーは前年密かに北京を訪れ、米中関係改善によるソ連の封じ込め交渉に乗り出していた。中共は1949年建国の翌月には国連に中華民国の追放を提起し、その後も何回も同様の提起を企てたが、長らく否決され続けてきた。1971年のアルバニア決議を経て中共は国連の安全保障理事会常任理事国の地位を獲得し、正式に国際舞台の主役としての地位に立つこととなった。アメリカは中華民国の国連...
ブログ

人間にとって価値ある能力とは何か

前回ブログの続きのようなものになりますが、本格的AI時代を迎えて、人間とは何か、私とはどういう存在かといった哲学的問いを多くの人が持たざるを得ない段階になってきていると思います。「教養としての生成AI」(清水亮著・幻冬舎新書)は比較的素人にも分かり易く書いてあり、多くの知見を得ることができました。 原始の狩猟時代において、人間にとって価値ある能力は、「目がいい(視力)」「足が速い(走力)」「獲物を仕留められる(腕力・持久力・敏捷性)」といったことであったでしょう。性差による肉体差がある男女間では自然に役割分担がなされ、男は狩りを、女は子育てを中心に日常生活が営まれました。いわゆる食糧調達のできる強い男を女が求めていた時代で、村落内でも英雄として一目置かれた存在であったことが想像されます。 その原始時代において求められた能力競争の名残は今でもオリンピック種目や各種スポーツ、諸々の世界選手権などによって継承されています。車や新幹線や飛行機といった移動手段が進化を遂げても、オリンピック100m走決勝は花形競技として毎回世界の注目を集めています。格闘技もアマ競技からプロに至るまで幅広くファンの...