ブログ 善と悪の経済学
「善と悪の経済学」はチェコの経済学者トーマス・セドラチェクが2009年に出版した一般の経済学の著作とは一線を画す意欲作である。経済学の境界を遥かに超え、その語り口は古代まで遡った歴史・哲学、そして倫理学・心理学にまで及ぶ。数学的と捉えられがちな経済学が内包する多くの要素を幅広く論じたこのような著作に出会ったのは初めてである。 今年のノーベル経済学賞は米2教授が「不完備契約の理論」で受賞した。人々は将来起きることを全て事前に知って契約を結ぶことはできないことを指摘し、そのような不確実性の要素(情報の不完全性)をどのように契約において処理すれば良いのかを論じている。新古典経済学が、情報の完全性と将来起こる確実性を人々が有しているという仮定に立って、人々が自己利益の最大化を目指しても市場が社会の利害を自動的に調和させるとしたモデルに対して、現実的な処方箋を提示したと言える。経済学は比較的新しい学問であるが、扱う領域はこのように社会・政治・経済・公共等と不可分であり、実はかなり幅広い領域を扱う学問である。 さて、話を元に戻そう。現在、ほとんどの企業では右肩上がりの成長を当たり前のこととして事業...
