東電株主総会

2013年6月26日 at 6:17 PM

代々木第一体育館で物々しい警備下、東電の株主総会が今日行われました。入場株主は荷物検査を課され(とは言っても空港の出国検査程ではありません)ての入場です。入り口前には多くの市民団体と思われる方々が各々の株主提案に賛同してもらおうとビラを配っていました。会場に入って東電役員の顔が見えるところでと思い、前の方に進むと「提案株主席」に気づかずに座りそうになり、その一列後方の真ん中に着席しました。三々五々集まる「提案株主」の皆さんは顔見知りのようで、それぞれ挨拶を交わしています。総会開始前段はお決まりの進行でしたが、時折経営側への怒号が飛び交うだけでなく、株主間で怒号が飛び交っています。原発反対派、古い原発の廃炉推進派、原発再稼働派あるいは東電関係株主、一般株主となかなか単純に色分けできない複雑なStake Holderの面々です。

既に夕刊で報じられていますが、結果は全て株主提案は否決され、経営側の意向に沿った決議となりました。The資本主義の結果と言ってしまえば当然ですが、一方で何か無力感のようなものも感じます。先般の都議選の投票率は低かったですが、行かなくても結果は変わらないという多くの方々と同じ脱力感を想起させました。

経営者側で壇上に登っていた方々は60~70名いたでしょうか。最前列の23名は会長以下全員男性でした。最後方の左隅に一名の女性を確認しましたが、その方は株主数と有効株個数を説明するためにいた方です。一方対照的に、株主提案の趣旨説明に立った10数名のうちの9割近くは女性でした。技術的な独自提案を説明されたEngineerと思しき男性もいらっしゃいましたが、女性が圧倒的に多かったです。私に質問の機会を頂戴できたとすれば、役員に3割くらいは(5割でもいいのですが)女性を入れたらどうかと提案したでしょう。それくらいまるで男性理論対女性理論のように見えた対立構図です。

質疑は途中で打ち切られ3時間半ほどの株主総会は主催者側の思惑通り(想定の範囲内で)終了しました。沢山の質疑応答がされましたが、公平に見てまともに回答した役員は非常に少なかったと言わざるを得ませんでした。質問論点の急所をかいくぐり想定問答集に沿った回答は少なくとも誠意を感じられるものではありませんでした。3.11以降にその職に当たられた経営陣にしてみれば火中の栗を拾ったのに、何故ここまで過去の経営者の無為無策の責任を背負わせられるのかと思っていたかもしれません。何とか切り抜けて無事総会を終わりたいという気持ち、それが明らかに表れていました。一般株主もそれを十分わかっています。国策で進められた原発の大事故。炉心融解、放射能漏れ、冷却水処理、放射能がれき、作業者の被曝、被災者への対応と後処理だけでも大変です。東電だけでは無理です。原因と責任を明確にした上で、東電で責任の持てる範囲に限定して株式会社の責務を果たしてもらいたいです。東電を矢面に立てて国の責任をうやむやにするのはやめてほしい。新規原発についてはしっかり時間を掛けて安全性を高めていくべきです。成長戦略/金になるからと焦って海外に売り歩くのはどんなもんでしょう。各国の大統領や首相が経営者団体を引き連れて官民商談しています。全部を否定するものではありませんが、やはり金より大事なものがあるはずです。

質疑に立ったひとりの女性の話に目頭が熱くなりました。質問既定時間の3分間一生懸命訴えていました。3人の子育てをされて、現在は介護の仕事に就いている方です。原発の近隣に住まわれていた方で20数年前から東電に「原発は本当に大丈夫なのですか」と問いかけていたそうです。その度に東電は「飛行機が落ちても、地震が起きても大丈夫」と所謂『安全神話』を語っていたそうです。証券会社からは「東電は大丈夫」と言われ、主人には反対されたけれども当時40数万円の東電の株を買いましたと。今日は会社を休んで初めて総会に来ましたと、こんな普通のおばさんをここに来させるほどの状況になっているにもかかわらず(経営者の皆さんは立場上本心を言えないこともあるでしょうと理解を示しつつ)、これまでの話は結局お金の話ばかりじゃないですか。私は命の話をしているんです」と時折笑いも誘いながら、しかし毅然と言い放ちました。

安倍首相は2020年までに、指導的地位に女性が占める割合を30%以上にすると述べられましたが、それでは遅いです。選挙でも「景気の問題」が一番の争点となることが多いですが、それは表層の問題であって今世界で抱えている問題の根っこの多くは実はお金の問題ではなく倫理の話なのです。特に高度成長期を終えて安定成長期に入った社会では、それを構成する人々の割合と全く異なる構成人員で社会(あるいは会社)を運営することの危うさを認識しなくてはならないと思います。なるべく多くの人が社会参画できるように皆選挙でも一票を投じて欲しいです。まだまだ日本は多様性とは程遠い状況で、これらを放置しておけば日本の国際的地位はさらに低下していくこと必至です。

Carbonless EnergyとMoneyの話

2013年6月22日 at 8:44 AM

最近ブログに対してMailやLINEでいくつかコメントを頂戴しました。PositiveなFeed Backなので書いている本人にしてみれば嬉しいのですが、反面ちょっとしたPressureでもありますね。あまりサボってもいられない気分になります。調達購買が専門の「調達科学研」ですが、調達購買を広く捉えていくと政治経済の問題に波及していきますし、もっと広く捉えれば人間の本性、地球規模の問題、人類の幸福とはという命題に至っていきます。私の専門分野はセミナーやコンサルティングの中でお話してまいりますので、ブログではちょっとはめをはずすことをお許し下さい。

株主総会が今週から来週にかけてPeakを迎えるようです。アベノミクスに乗じてという訳ではないですが、考える時間に余裕が出来ていたので、資産運用Portfolioの一環で、いくつか成長が見込まれる応援したい企業の株を昨年買っていました。株主総会のご案内の手紙が来ましたので、時間が許す限り経営者の生の声を聴くという意味において参加するようにしています。昨日は日立製作所の株主総会に出席しました。社長の中西さんは以前氏が合弁子会社のHGST副社長時代に仕事の関係でSan Franciscoの本社でお会いしたことがあります。その時のご対応、その後のMailでのFollow Upなど丁寧に応対頂いたので非常に好感を持っていました。本体の社長になられてからは果敢に事業の選択と集中を進められ、将来これからの「日立」の姿を形づくられているだけでなく昨年度4.7%の営業利益を実績として出されています(一部株主からは中期計画の5%目標に達していないのは努力不足と叱咤される場面もありましたが)。

株主総会では業績報告や決議案件、当社の課題などが一通り説明されますが、なんといっても株主総会のMain Eventは質疑応答の時間です。ここでのやりとりは、株価のちょっとした動きだけを睨んで日中売り買いを繰り返しているDay Traderの方々には感じられないであろう、会社の品格というものを感じ取ることができます。初っ端の質問は国際環境NGOのGreenpeaceの方から、十分練り上げた原稿を滔々と読み上げ、要は「原発はやめなさい」という趣旨の半ば団体のアピールも含めての発言(会場前では「原発メーカーの日立の株主総会の会場はこちら」という黒地に黄文字の案内看板をおどろおどろしく掲げていました)。それ以降の質問者の半分の方々もそれぞれ表現は違いますが同様な趣旨の発言をされていました。3.11の傷は簡単に癒えるものではありません。心情的には良くわかります。それらの抗議とも受け取れる多くの質問に対して、担当の役員と中西社長は「原子力発電を将来に亘っての重要なエネルギー源」としてこれからも安全対策に注力し推進していく、「決して(死の灰をばら撒くような)恥ずべきことをしているのではない」と決意を語られていました。

他の質問や応援の発言など多々出ましたが、感心したのは応答した全ての役員が株主をまっすぐ見据え自分の言葉で真摯に語っていた点です(勿論想定問答の準備はあったでしょうが)。こういった場面で決算報告書などの書類に現れない会社の品格というものを感じることが出来ます。私自身3.11以降、当分原発再開はないと思っていましたし、あのような事故が起きるとどうしてもNegativeな感じを持たざるを得ないのは仕方のないことだと思っていました。

そんな折、Columbia大学のJeffery Sachs地球研究所長の話を聴く機会がありました。教授曰く「近年CO2濃度は400ppmに達し危険域を超えている。過去300万年での推移は200~300ppmの間を行き来し寒冷期と温暖期を交互に繰り返していた(過去300万年のDataってあるんですね??)」。要は近年の温暖化は自然サイクルを大きく超えていて、「CO2濃度が倍になったら温度は3~5℃上昇し、海面が数m上昇、その結果100を超える沿岸都市が海に沈む」「CO2が海水に溶けて酸化し、食糧確保が困難になる。窒素化合物が水に流れ込んで汚染を引き起こす」。教授は【ANTHROPOCENE】という新語を用いて、人類が自ら人類の世紀に終止符を打つことに警鐘を鳴らしています。勝手に北斗の拳風に言えば「お前はもう死んでいる」と手遅れかもしれない懸念も表明していました。

地震の頻度は過去からそれほど変わっていないそうですが、異常気象と呼ばれる洪水、台風、干ばつ、竜巻などの発生件数は過去の頻度の数倍に上っている数字も出されていました。つまり代替エネルギーを考える時に経済計算で考える時は過ぎていて、すぐにでもCarbonless Energyに代えていかないと地球はあと30~40年しかもたない。それは新興国にはできなくて先進国がやらなければならない義務であり、挑戦であると締めくくっておられました。原発反対を唱える方々がArmishのように一切電気を使わない生活をされるのであれば一貫性はあると思いますが、電気のない生活が出来ない多くの人達は本当に真剣にエネルギーの節約とCarbonless Energyへの切り替えを行わなければならないと切に感じた講演でした。

前段で揶揄したDay Traderが操るMoneyも個人の眠れる金融資産であったり、大切な老後を支える年金基金であったりと個人個人にその意図は無くともMoney Gameに一役買っていたりするわけで、身の回りの事柄とそれを取り巻く大きな仕組みの両方を見極めて身を処していく必要がありますね。来週は東電の株主総会に行ってきます。

梅雨入り宣言と予測精度

2013年6月3日 at 3:04 PM

気象庁は今年平年より10日早い関東甲信地方の梅雨入りを5月29日に発表した。しかしながら、天気は至って良好。東京は一週間先まで雨の降る予報はない。もしかして気象庁そのものも早まったと後悔しているかもしれない。普段から気象庁の予測精度はあまり期待できないと思っている人は少なからずいると思うが、かと言って天気予報を見ない人は少数であろう。運動会やBBQ、そんなイベントを前にして天気に無頓着ではいられまい。

このお天気ビジネス、Needsはあるが、顧客の満足できるレベルに至っていないので、設備投資が掛かるものの、まだまだ新規参入の余地のある業種であると言える。実際、特定顧客に対してより精度の高い情報を提供している会社はあるし、コンビニの弁当の仕込み量や飲料水の仕込みはそういった情報に大きく依存している。

私は今日は外出する予定は無かったが、梅雨の合間の晴れ間にしては随分ピーカンなので、たまに気分転換に出掛ける近くの大池公園に散歩に行ってみた。いつもように公園遠周を歩いていると、正面からランニングの女性がこちらに向かって走ってくる。ゆっくりのスピードなので、特に目を留めることもなくさっと視界から過ぎ去っていく姿のはずであるが、なんとその女性は少し驚きの表情を浮かべ、今までしたこともないのではないかと思われるムーンウォークで後ずさりし、踵を返す形で右手の小道に走り去っていった。まさか私を見て恐怖を感じた訳でもなかろうが、気に留めることもなく歩きすすむと、彼女の行動に合点がいった。体長1m以上もある蛇が舗装された小道を横断中であったのだ。鎌首をあげることもなくスルスルと身をくねらせて進んでいくので、しばし足を止めて「一体、どこへ向かうのか」観察したくなった。その大蛇(横浜では大蛇の部類かと)はPaceを変えることもなく我が道を行くかのごとく池の方向に向かっている。果たして最後は池に入るのか?私も距離を保ちながらそっと池の方向に歩み寄っていく。

大蛇は池の手前までいって、その石積みの段差にびびったのか、右へ逸れて池の周りを少しなぞったあと、来た方向の草むらへ舞い戻ろうとする。水は嫌いか? さてもう少し見てみようか、見るのは止めて先へ行こうか少しの逡巡があった時に、回りの動物の鳴き声に気付いて回りを見渡すと、周囲には7~8羽の鳩が私を囲むように手摺の上に、あるいは池の石積みに集まってきている。そのうちの1羽か2羽が聞きなれない奇妙な鳴き声を発したかと思ったその次の瞬間、池の向こう岸から何十羽もの鳩がヒッチコック「鳥」宜しく私の方へ猛烈な勢いで飛んできて頭を啄まんばかりに羽を大きく広げて着地態勢を取っている。その羽音の大きさに直感的な恐れを感じた私は、その場を一目散に逃げ去った。よかった糞をかけられなくて・・・・

多分、鳩たちはこれまでの経験から池の近くの人間は餌をくれるものと思い込んで、仲間を次々と呼んでいたのであろうと勝手に解釈した。でなければ、鳩に襲われる謂れも心当たりもない。

蛇に近寄り観察、鳩がたかってきて、そこから逃げ去るという、平日の平和な公園では全く想定外の数分の出来事であった。事が起こった今ですら現実だったのかどうなのかさえ定かでない。鳩にあんなに恐れを感じたこともない。

予測とはかくも脆く困難厄介極まりないものである。天気は悪い方に外れれば怒りたくもなるが、良い方に外れたら人間はその結果に寛容なものである。製造業の需要予測も上方修正には何とかやってやろう、お客様をお待たせしてはいけないとMotivationが上がるが、下方修正の場合は注文キャンセル、残材処理と全く後ろ向きな仕事で、かつお客様には何一つBenefitを差し上げられない。いっそ需要予測なんてやめたらという気分になる時もあるが、投資判断ともなれば、ある程度長期に亘る需要予測無しではビジネスは成り立たない。需要予測と同時にどういった販売戦略でどの程度シェアを取るかといったまさに製販一致した腹落ちした計画を立ててしかるべき責任者が責任を持って進めるべきものである。既存事業の場合はその経験と知見も積まれているので、そんなに大きく外れるものではないだろうが、全く新規の事業となると非常に困難な作業になると思われる。その際の最大のRisk Managementは多くの人の意見を聞くことである。様々な経験や知見、趣味、人脈、多様な人がいればいるほど、予測の確度が高くなる。少なくともRisk Factorを明らかにすることはできる。大企業でも中小企業でも企業の大きさを問わずいつも決まった人が意見を引っ張り、限られた経験とバイアスの掛かった判断で結論に持っていくことや、いつも同じメンバーで寄り集まって肝心な核心議論が抜け落ちて結論に至ることが一番危険である。会社組織の風通しの良さこそが予測困難な状況に際してRiskを避けて前へ切り開いて進むことのできる最大の武器である。No Risk, No Returnとはそういった回避策(戦略とは如何に戦をせずに勝つかということ)を充分取った上での不退転の決意を示すのであって、それなしでは単なるギャンブル。最後は天から糞が降ってくる運命が待っている。